猫バス北海道漫遊 七日目 根室〜釧路〜帯広〜上士幌〜糠平温泉

根室ライダーハウス お母婆(おかば)の朝。
みんなよく眠っている。

私はいつものように早起きをする。

いびきの御仁も起きてこられたが 寝不足だと言っておられた。

周りの人だけでなく 本人まで寝不足になるとは 恐るべし。

かなりの大きないびきで しかも往復だった。
本人も息苦しそうだった。
ライダーハウスは 居酒屋の隣の棟にあり バイク置き場はハウスの前。

下は土の地面なので 駐輪には気を使う。
大きな石がゴロゴロしているし そうかと思えば めり込みそうなくらい柔らかい地面があって 大型バイクの駐輪は注意が必要だ。。

こういうときは まずバイクを硬い水平の地面まで引き出して それから荷積みするのがセオリーだ。

バイクを押し引きするにしても 荷物満載では動かない。

最近 黒いバイクが気になる。
昨日見た黒の猫バスに続いて VT1000Fのブラックもかっこいいなぁ。

ライダーがきまっているからかな?

これがライダーハウス「お母婆」の目印。
国道から少し入り込んでいるので 昨日のようにガスが出た時は 分りにくいようだ。
ハウスは国道からは少し分りずらい。

右の人が昨日親しくしていただいたウォリアーさん
その隣の人が TRX850のすぎさん。

いいコンビだ。

私は二番手で出発した。
まずは納沙布岬へ行く。
ここ根室は領土問題の最前線だ。

この時期 終戦記念日に近くなると その方面の街宣車が この町に沢山やってくる。

納沙布岬や根室の市街で スピーカーの大音量で戦歌を流し 「返せー 戻せー」の大合唱になる。

いくら叫んでも ロシア領までは聞こえないとは思うが、きっと我々に聞かせているんだな。

うん。

霧が深くなってきて 灯台が大きな声をだして叫びだした。
「ンボー ンボー ンボーッ」 何度も何度も 低く長く大きな霧笛が 暗い海面に向かって
いつまでも泣いてていた。

宗谷岬でも霧多布でも 納沙布岬でも 今年の夏は気温が高く 海水温との差が 海霧を呼んで 海上でも海辺の町でも あたり一面真っ白にしてしまう。

特に納沙布岬は海の難所で 座礁する船が多いという。 

岬の先端近くにある 鈴木食堂に立ち寄った。
朝っぱらから 大メシを食らう。

サンマ丼は ここが発祥だというので 早速いただいた。

今年はサンマが不漁らしく 高値が続いているらしいことを 昨日お母婆のママから聞いていた。

サンマ丼は とても美味しかったが 私としては 小樽の 燐友市場で食べたサンマ丼のほうが口に合う。

サンマ丼を食べながら外を眺めていると さっき分かれたTRX850さんとウォリアーさんが通りかかった。

お互い手を振って挨拶を交わす。
そういえば別れの挨拶をしていなかった。

この先もお互い無事で走れますように!

根室半島をぐるりと一周する。
やはり霧が出てすっきりしない。

平地ながら高原状になった半島一体は 木が少なく草原と荒地ばかりが目立つ。

この景色が好きで いつも私はやってくる。

私が初めてきたときは もっと家が少なく 今より随分荒涼とした風景だった。

最北端の宗谷丘陵もよく似ていて どちらも飽きることがない。

この半島と宗谷丘陵 そして落石から根室に向かう道は 私の好きな場所のひとつだ。

だんだん家が増えてきて 変わりつつあるが それでも昔の面影はまだまだ残っている。


朝 サイドバックの点検をしていて発見したのだが バックを車体に留める部分のバックルが ひとつなくなっていた。

ベルトを固定するものだが オス型だけなくなっていて なぜかメス型はそのままだった。
不自然な無くなり方で まるで盗まれたような感じだったが こんなもの欲しがる人もないし まさにキツネにつままれた そんな感じだった。

愛らしいキタキツネは 本州のキツネとは違って 人を化かしそうにないのだが。

ひとっ走りして訪れたのが釧路の大きなホームセンター。

いろいろと面白いものがあって バックル探しそっちのけで いろいろ探検した。

養蜂業者が使っている ネットつきの帽子や 山菜採り用の籠 熊よけの笛 爆竹 熊よけスプレー ゴミ集積地のカラスよけネット スコップ状になった山菜採りナイフなど 見れば見るほど面白く 時の経つのも忘れ探検した。

昔で言う荒物屋がホームセンターなら 地方の人の生活を覗く格好の場所になる。

地方の市場を探検するのと同じくらい ホームセンターめぐりは面白い。
田舎の店舗ほどユニークなものが多い。

肝心のバックルだが 惜しいことに同じものがなかった。

このタイプのものは よく似たものが 違うメーカーで2種類あって お互い互換性はない。
店員にそのことを尋ねると この店になければ もう釧路にはないという返事だった。

仕方なく 帯広で探すことにする。


釧路〜帯広間を通るときは 必ずここ白糠の道の駅「恋問館」に立ち寄る。

道の駅の裏は海になっていて 眺めが良いが この海は思いのほか冷たく 夏場気温が上がると 濃い霧が発生しやすく またにわか雨が降ったり 突風が吹いたりと お天気で通過したことがない。


今年は珍しく 曇り空ぐらいでなんとか通過できそうだ。

ちなみにレストランの豚丼は 美味しくてお勧めだ。


珍しく同じバイクを見つけた。

オーナーさんと少しお話しすると 初大型バイクだそうだ。

とんでもなくパワーがあって どこまでも走れると 言っておられた。

私も買った時はそんなふうに思ったこともあったが どっこい 上には上がある。
世間では300km/hを越えるバイクもあるのだよ。


でも 確かに猫バスはいいバイクだ。
お互い楽しんで乗ろうよ。



恋問館を出ると やっぱり怪しい天気が待っていた。

このあたりは天候が変わり易い。

この先のわき道にはいると 一昨年行った昆布刈石があるが 大型バイクではダート走行は無理(ヘタなので)無視して先へ進む。

やっぱり小型バイクで来ればよかったかなー


帯広のホームセンターで 探していたバックルが見つかった。

なくした経緯が分らないので また失くす可能性があり 予備を2つ購入した。
用心深くやるのはけして無駄ではない。


さて用事も済んだ。
今日は稚内で一緒だった「たぬ」さんと約束した 糠平温泉に行かなければならない。

その前に腹ごしらえ。
ホームセンターの真ん前にあるラーメン屋に 豚丼のカンバンがあったので ここで豚丼を食べることにする。

ラーメンも美味しそうだが この日30℃を越える昼間 さすがにラーメンを食べる気にはならない。



注文してみると 期待していなかったわりに 美味しいものにありつけた。

こういうとき 私は鼻が利くのか 悪いめにあったことがない。

正直に丁寧に作った豚丼は 期待以上の味だった。
これならラーメンも美味しいだろう。

また来たいものだ。

実はこの店 一昨年 目をつけていたものだ。

向かいのホームセンターも二回目の来店になる。
我ながら方向感覚の良さと 土地を記憶する力は 人に自慢できると思う。

ただし 人を案内すると とたんにあやふやになるのもクセなのだが(笑)


帯広の町から音更 士幌 上士幌と走るにしたがって 天気が怪しくなる。

これ以上北に上がるのは嫌なのだが 約束の場所があと数km先なので 仕方なく進むことにした。

上士幌から山に入り 糠平温泉に向かう頃には 雨が降り出し トンネルをひとつずつ越えるたびに 雨足は強くなり 糠平温泉に着いた頃には 土砂降りになった。

温泉街のはずれにある豚丼屋「みはる」にたぬさんはおられた。

糠平国設キャンプ場で 野営したいところだが どうやらこの雨は止まないようなので 湯元館というライダーハウス兼湯治場に一緒に泊まることになった。

湯本館は素泊まりの湯治場で 大広間に雑魚寝でよければ 1500円で泊まることができる(ただし寝袋持参)

風呂は24時間入り放題。
内湯は男女別浴。
露天風呂は混浴の湯治場。

私が露天風呂に入った時は一人だったが 中には女性2人と混浴になったライダーもいたらしい。

うらやましいようだが 自分がこんな場面に遭遇したら たぶんどぎまぎして 先に出ただろう。

露天風呂では 女性の方が度胸があって 堂々としているらしい。

この日幸運なめに遭った人に聞いた話しだ。

土砂降りの為 沢山のキャンパーが こちらに避難してきた。

今日は温泉のキャパいっぱいになるくらい 宿泊客が多かった。

ライダー達は濡れた衣服やカバンを 玄関先いっぱい広げ 客が入れないくらい迷惑をかけているのだが 旅館の女将さんは 嫌な顔ひとつせず 言葉少なに 「通路だけ少し空けてくれたらいいよ」と寛大な人だった。

申し訳ないので みんなに呼びかけることにした。

みなさーん! 濡れた衣服を通路から邪魔にならない場所に移動してください。
お客さんが通れませーん!

と部屋を説いてまわった。

ライダー自身が自分たちの快適な場所を潰してはならない。
安く泊まれるのは バイク好きの主人の善意なのだから。

勿論 その前に 人に迷惑をかけないというマナーこそ もっと大事な話なのだが。



湯元館に入って くつろいだり 明日の朝食の買い物をしたり 泊り客としゃべったり 風呂に入ったりしていて 数時間過ぎた。

遅い昼食から 数時間しか経っていないが 夜食をとることにした。

湯元館の向かいにあるレストランで もみじ丼なるものを食べた。

鹿肉を使った 牛丼スタイルの甘辛い(北海道では あまじょっぱいという)丼だ。

味はまあまあ。でも珍しいものなので ありがたく頂いた。

料金を払う段になって 店の女主人が 電話をしていてなかなか出てこず これじゃ食い逃げされても分らないなぁと 同行の人と苦笑しながら 出てこない店主を待った。

まことにのんびりした 北海道らしい 商売っ気のないレストランではある。



この日もライダー達とロビーで宴会をした。

たぬさんや 福島から来られたWR400に乗ったポリタンクさん CRM250さん XRF250さん セロー250さん などとビールで乾杯した。

後から参加された人に 昨日根室のライダーハウスでご一緒した 神奈川のVFR800の人がおられて お互い偶然の再会に驚いてまたビールで乾杯した。

お互い目立つバイクなので すぐ分るのだ。

この人とは 翌日も同じようなコースの予定だと聞き 笑いあった。

愉快な夜の愉快な仲間は 遅くまで声を落として話し 眠ったのは12時頃。
最後に寝た人は露天風呂で話しこみ 明け方近くまで起きていたらしい。

みんなツーリングに来ると バカみたいに体力がある。
きっと楽しいと疲れないのだろう。


私もまだまだ元気。
でも天候はちょっと心配だ。
明日から大雨になるという。

この日糠平温泉は夜通し雨が降り続いたが ふもとの上士幌では 晴れていたらしい。

そろそろ雨男全開か?・・・・・・・・・苦(爆?)笑

あすこそはキャンプがしたい!!

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